劇団野火の会は、一人芝居の第一人者の故新屋英子が、夫で劇作家・演出家の鶉野昭彦と共に1994年に設立。大阪府富田林市の鶉劇場を拠点に活動している。劇団代表は道野隆。
新屋英子は在日コリアン一世の女性が戦争や差別のため苦しみつつ、たくましく生きる半生を表現した一人芝居「身世打鈴」が代表作。「ヒミコ伝説」「チョゴリを着た被爆者」等のひとり芝居で通算3000回超の舞台を踏んだ。
鶉野昭彦は「部長刑事」等多くのテレビ、ラジオドラマで芸術祭大賞や民放グランプリを受賞。その傍ら「幻・影・夢9部作」等舞台作品を書き、東京下北沢を拠点に劇団を立ち上げた小劇場演劇の牽引者だった。
「愛・笑・涙・怒。時に激しく、時に暖かな炎を人々の心に灯し、燎原の火となって燃え上がることを夢見て・・」そんな二人の想いが込められて劇団野火の会と名付けられた。
人間の悲しみ、声にならない呻き、喜びをいかに表現するか、表情、身体表現として追求し、なおかつ小劇場演劇の色香を残したスピーディーで明瞭なセリフ回しで独特の舞台空間を生みだしている。
2010年以降は、劇団員も増加、年一度の定期公演を定例化し「夢見るキツネ」「幻舞台」「影の少女」「影のヴァンピレラ」「夢の中のナイフ」をクレオ大阪西大ホールで開催した。また、平松邦夫大阪市長を実行委員長にした、東日本大震災復興支援特別公演「ひまわりの咲く丘で」を難波別院・御堂会館で上演し話題を呼んだ。また区民ホールや学習センター等でスタジオ公演を開催、通算50公演を超えている。
近年は、「一緒に芝居を楽しもう!」と、多くの方に演劇に興味を持って貰う事を目的としたワークショップや公開稽古も開催。表現すること、伝えることの楽しさを劇団員とセリフのやり取りをして共有するスタイルは大きな評判を呼んでいる。そして、ワークショップ参加者が加わった公演活動を実施し成功を納めている。